そして……。
 ある晴れた日曜日。白い部屋の中。そこにはウェディングドレスに身をまとった利亜が椅子に座っていた。
「うん、きれいよ利亜。」
 利亜のとなりには絵里が座っていた。
「……ねえ、絵里……。」
 利亜は不安げな声を出した。
「本当に私結婚するのかな。」
「するに決まってんでしょ。あんなにいい彼見つけといて何言ってんの、罰が当たるわよ。」
「うん……。」
 利亜の目にはうっすらと涙が光っていた。
「あとは……絵里だけか、どうなの?最近志郎君とは?」
「うん……それがね……どうも私ももうすぐみたいなんだ。」
「え?本当?」
「うん、このあいだ言われたの。結婚しようって。」
「やったね、絵里。」
「でもまだ返事してない。」
「何で?」
「少しぐらいじらそうかなって。」
「悪い奴。」
「いいじゃないの。それぐらい、ね。」
「いいのかなあ……待ってるあいだに誰か他の女の子と……。」
「な、何言ってんのよ。ドラマの見過ぎよ、利亜。」
 その時部屋のドアが開いた。
「久しぶり、お二人さん。」
 ドアを開けたのは由梨だった。
「由梨〜。」
「元気だった〜?」
 利亜と絵里は同時に声を出した。由梨は利亜に微笑みながら、
「やっと利亜も結婚するわけね。」
 絵里もつられて微笑みだした。
「本当、ドラマみたいな恋したい、なんて言ってたけど結婚する時って意外とあっさりするもんなのね。」
「何言ってんの二人とも。ドラマの最後はハッピーエンドなんだからいいじゃないの。」
「でも本当久しぶりね、由梨。」
 絵里は由梨の方に向きなおした。
「そうだよね。あの時は私も驚いたもん。由梨が会社辞めて秋戸君とカナダへ行くだなんて……。」
 利亜も笑顔で由梨の方を見た。。
「あんまり日にちがなかったのよ、彼がカナダへ行っちゃうまで。」
「そういやまだ式は挙げてないんでしょ、いつ挙げるの?」
「彼が向こうでの仕事が落ちついてからだから……もうちょっとかかるわね。」
「そっか。今日は秋戸君は?」
「向こうに残って仕事してる。本当は来たがってたんだけどね。」
「絵里、由梨、二人の花嫁衣装早く見たいな。」
 その時。ドアがノックされた。
「まもなく式が始まります。」
「はい。」
「それじゃ、利亜。頑張ってね。」
「私もカナダから来たんだし、いい式にしてね。」
「うん。……あのさ。」
「何?」
「何なの、利亜。」
「今日は来てくれて本当にありがとう。絶対幸せになるから。」
 そしてこの日、利亜は愛する人と新たな人生を歩み始めた。二人の親友に見守られながら。
〜END〜

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