暑い夏です。
 こういう暑い夏は学生さん達にとって長期休暇の季節でもありますね。
 旅、と言えばこんな話があるんです……。


・公衆電話

 ある暑い夏、一人旅をされていた学生さんがいらっしゃったんですね。
 ある夜……20時ごろの事なんですが。
 夜遅くなってしまったので予約していた旅館に急いでいたんですね。
 最寄の駅に着いたときにはバスもなく、タクシーも無かったんですね。しょうがないから走っていたんです。
すると目の前に公衆電話が見えてきたんですね。特に何も考えず、その前を通り過ぎようとしたら突然ジャリイーーーーーーーーーーンッって公衆電話が鳴り出したんです。
 冷静になったら普通無視するんですが……何かテンションが上がってたんですかね、出てしまったんですよ、ええ。
「もしもーし。○○さん?」
 妙に明るい声が聞こえてきましてね。で、○○さんじゃないもんですから、
「いえ、違いますよー。」
「え?○○さんじゃないのー?」
「ええ、これ公衆電話なんですよ。」
「えーそうなんですかー。いやーすいませーん。」
 そんな間抜けな会話をしたそうなんです。
 なーにやってんだか、と思いながらそのまま旅館に急いだんですね。
 その晩は特に何か変わった事も起こらなかったんですが……翌朝……。
 また同じ道を歩いて駅に向かって行ったんです。
 昨日、公衆電話があった付近に来たんですが……無いんですね。 何処にも。
 公衆電話が。
 あれ?って思って昨日公衆電話があった場所に行ったんですね。
 公衆電話は無かったんですが……その。
 その正面の家がね。
 お葬式の真っ最中だったんです。
「○○家葬儀会場」って。

 この時期の風物詩と言えば……花火大会です。
 幻想的な色合いと。そして……迫力。


・花火大会

 ある町での話なんですが。花火大会がありまして。
 で、まあ友人同士で連れ立って見に行ったんですね。
 「穴場がある」って友人の1人が言うわけですよ。その穴場っていうのは前に河川敷、後ろにマンションがある場所なんですね。
 冷静に考えてみればそんな場所が穴場だと言うのはおかしいんですよ。だってどう考えたって人に発見され易い場所なんですよ。花火も良く見えるんですよ。でもね……花火がよく見える場所だったんでね、テンション上がってたから気づかなかったんですね。
 ……花火大会が始まりましてね。また本当に良く見えるんですよ、花火が。

 ドーン! ドン ドーン! ドン ドーン! ドン
花火がキレイでね。しばらく見入っていたんですが……。
 ドーン! ドン ドーン! ドン ドーン! ドン
 花火が打ち上がってドーン!という音がした後にドン、っていう鈍い音が聞こえてきたんです。花火が上がるたびに聞こえてくるんですね。
 で、よーく聞いているとどうやらその音は後ろのマンションから聞こえてくるんですね。
「はて?」と思いながら振り返ったんですよ。そうするとね。マンションの屋上から何か黒いものが落ちてるんですよ。で、それが地面に当たったあたりでドン、って音がするんですね。どうもあの大きさからすると……人間、みたいなんですよね。
 花火が打ちあがるたびにドン、何回も何回も花火が打ちあがるたびに黒いものが落っこってるんですね。ずっと。
 ……でね。そのマンション……その時も、今も普通に人が住んでるんですよね。

「学校の階段」……ダジャレです。そんな、タイトルの話。

・学校の階段

 まあ昔の話なんですがね。小学校で一時期怪談がはやる時期があるんですね。で、そうなると必ず「学校の階段」とか言って場を白けさせるイチビリがいるもんでして。
 で。そうなると「そういやこの学校の南校舎の一番はじっこの階段でね……。」と言い出す子もいるんです。まあ、そういう時の話としてよくあるのが「夜になると上る時と下りる時の段数が違っている」というパターンですね。
 で、誰からともなく「確かめてみようぜ」なんて言い出しまして……。
 夜、勇気のある男の子5人が学校にこっそり忍び込みまして。男の子達は真っ先に階段のところへ行って、みんなで一段ずつ数えていくわけです。
「いーち、にーい、さーん、よーん、ごーお、ろーく、なーな、はーち、きゅーう、じゅーう、じゅーいち、じゅーに、じゅーさん。」
「よーし13段だな。今度は降りてみよう。」
「いーち、にーい、さーん、よーん、ごーお、ろーく、なーな、はーち、きゅーう、じゅーう……じゅーいち、じゅーに、じゅーさん。」
「なんだ一緒じゃねーかよ」
「帰ろーぜー」
 その日は解散となりまして。
 翌朝。こういう時、男子は女子に自慢話をしたがるもので……。
「昨日俺たち南校舎の階段の段数を数えてきたんだぜー。」
「えーやめなよー……で、どうだった?」
「あーぜんぜん増えてなかったよ。上りも下りも13段。」
「え……。」
 突然女の子が黙ってしまったんですね。
「どうした?」
 男子が聞くんです。
「だって……あそこの階段って、12段しかないはずだよ。」

 真夜中のドライブ。気持ち良いですね。真夜中ですから他に走ってる車も無くてけっこうスピードを出せるもんなんです。
 でも……気をつけてくださいね。暗いと何が起こるか、わかりませんから。


・真夜中のドライブ

 夜中に車を走らせていたんです。けっこう気分が良くなっていつもよりスピードを出していたんです。
 すると突然反対車線からライトが見えたんです。
「ああ、対向車……」なんて事を思っていたらね。ライトの位置がちょっと変なんです。
 どうもそのライト……同じ車線を走っているようなんです。
「え。やばいな。」そう思っていたんですが……どんどんライトが近づいてくる。
「これはマズイ!」と思ったんですが予想以上にスピードが速くてよけるのも間に合わなかったんですね。
「うわっ!」そう思っていたら……無事なんです。何もおきていないんです。
「……え?」慌てて後ろを見ても灯りなどないんです。
 ……あの灯りは何だったんだろう、今でも原因はわからないままです。

 さて、次でひとまずの最後のお話を。
御存知ですかね?怖い話をしていると集まってきてしまうと言う事を……。

・怪  談

 夏の日にですね。怪談で盛り上がろう、ってんで仲間内で集まってやってたんですね。
 私の番になりまして。
 まあ……怖い話のポイントとして、「突然大きな声で驚かす」ってのがあるんです。
 私もそれを実践しようと思いましてね。
「これは昔……私の小学校の頃の話なんですが……」とムードたっぷりにゆっくりと話し始めまして。
 上手い具合にみんな私の話に引き込まれていまして。話も結末に向かって一直線です。そしてベストタイミングで驚かそうとしましてね……

 わっ!

 驚かしたんですよ。みんな「うわっ!」「きゃっ!」と大慌てだったんです。
 で、その時に自分の耳に子供の声が聞こえてきたんですね。
「せっかく、僕の話をしてくれてたのに大きな声出して無茶苦茶にするなんて酷いよ!」

 ……如何でしたでしょうか。また、機会がありましたらいずれ。

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