ある日一通の手紙が来た。中には二枚の紙が入っていた。それにはこう書いてあった。

一枚目

はじめまして、突然こんなお手紙出してごめんなさい。
私は英飾高校1年の権藤知香といいます。
私はあなたのことが好きです。
私があなたの事を初めて見たのは今年の春の頃でした。
あなたがふだん使うバス停は私もよく使うバス停です。
制服が違うから他校の人なんだなということはわかりました。
でも私はその日からあなたのことが頭から離れなくなったんです。
そうです、ひとめぼれってやつです。
それから私はあなたのことが知りたくなりました。
あなたと同じ学校の人にあなたの事を調べてもらったりしたんですよ。
知らなかったでしょう?
女の子って大胆な時だってあるんですよ。
そんなことはともかく、お願いします、私と付き合ってください。

英飾高校一年二組 権藤知香


二枚目

突然こんな手紙をだして申し訳ありません。
私はこの権藤知香の姉です。
先日妹の知香が交通事故で他界いたしました。
葬儀の後遺品の整理をしておりましたところあなたあての手紙がありました。
どうするか悩みましたがやはりあなたに読んでいただくのが一番だと思い同封いたします。
権藤貴子


 気になったので友達に調べてもらいその子のお墓があるところへ行くことにした。
 そこは大きな霊園なんだけどその時はたまたま人が少な……いやいなかったのかな、ほとんど。わりと簡単にその子のお墓が見つかってお参りしていたんだけど、そのお墓は温かくて悲しい感じがするお墓でした。そういやその時、なんだか女の子の声で「ありがとう」って聞こえた気がした。俺は気のせいなんかじゃないと思っています。そう、多分彼女が―。
 それが俺の夏の日の忘れられない思い出になっています。

END



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