ここはブンワーツ魔法学校。ここは多くの少年少女が魔法を習う学校です。そしてとても眼の細い少年、ムギー・ポッターもそのうちの一人。
 今日のお話はそのムギー・ポッターが夕食の時間、同じ寮生の「ロンらいと」と「りんぐマイオニー」と話しているところから始まります。

「ねえ、りんぐマイオニーちゃん、どうしてこの魔法学校に入ろうと思ったの?」
「ここに来たらまほうでおかしをいっぱい出せると思ったからだにょ!」
「へえ〜。」
「そう言うお前はどうなんだよ、ムギー・ポッター?」
「僕?……別にいいじゃないか。」
「だいたいお前は親はどうしたんだよ、親は?オレやりんぐマイオニーは魔法で親を探すためにこの学校に入ったけど……。お前の親はどうしたんだ?」
「……それは……。」
「みんな、揃ったか?」
 三人の会話を遮るようにウイダルドア校長がざわついている生徒たちに声をかけた。
「では、今日も夕食の時間……の前に。」
 ウイダルドア校長がメガネを光らせながら生徒たちを見渡している。
「みるくナガル先生からお話がある。心して聞くように。」
 そうウイダルドア校長が言うと隣に座っている魔女が立ち上がった。
「はい、みなさん話を聞いてね。」
 みるくナガルは生徒に呼びかけたがざわつきはおさまらなかった。
「話を聞いてね〜。」
 それでもまだざわつきはおさまらなかった。
「話を聞かないなら……。」
 みるくナガルがそう言うと何やら呪文を唱え始めた。
「ハイキヒンチェック!」
 そうみるくナガルが叫ぶと一人のメガネをかけた生徒がふくろうになってしまった。
「ホーホーホーウ……。」
 ふくろうにされた生徒は悲しそうに泣いている。そしてそれを見た周りの生徒は黙ってしまった。
「……。」
「……みんな静かになったわね?」
 上機嫌なみるくナガルのとなりでウイダルドアの顔は引きつっていた。
「では話を始めます。ここ、ブンワーツ魔法学校には入ってはいけない場所があります。これは入学式でも言ったんだけど……はい、ロンらいと君!」
「ええっ!?」
 ロンらいとは驚いた顔になっている。
「えーとえーと……食料庫?」
「……違います。」
「えー!?だって昨日の夜忍びこんだら警報が鳴って……。」
「え?ロンらいと君今なんて言ったの?」
 ロンらいとは慌てて口を閉じたがもう遅い。
「食料庫に忍びこんだとか言わなかった?」
「いえ……その……。」
「……ダイミョウジンナゲッ!」
 みるくナガルがそう唱えるとロンらいとの体は
「うぎゃぁぁっ!」
 どこかへ飛んでいってしまった。
「……コホン。では……ムギー・ポッターこたえて♪」
「はい。地下の開かずの部屋と暗黒の森です。」
「そのとーり♪やっぱりどこかのおバカさんとは違うわね♪」
 みるくナガルは誰の目にも喜んでいるように見えた。
「えーと、なんで今ごろ改めていったのかと言うと最近開かずの部屋に忍び込もうとしている子がいるみたいなの。いい?絶対近づいちゃダメよ。」
「では、話も終わったので夕食を始める。いただきます!」
「「「いただきます!」」」
 夕食が始まった。しかしこころなしかりんぐマイオニーが寂しそうである。ムギー・ポッターがそんなりんぐマイオニーに声をかけた。
「どうしたの?りんぐマイオニーちゃん?」
「……どこまで飛ばされたか心配だにょ。」
「あー……大丈夫だよ、りんぐマイオニーちゃん。ロンらいとならそのうち元気な姿を見せるさ。」

 夕食後。ムギー・ポッターの部屋にて。
「いててて……。」
 ロンらいとが腰をさすっている。
「本当か、ロンらいと?地下室まで飛ばされたって?」
「本当だよ。それに開かずの間の前になんかいたんだよ!」
「開かずの部屋の前に何かいたなんて……信用できないよ。」
「何ぃ!?それなら確かめに行こうぜ!」
「だ、ダメだにょ。開かずの部屋には近づいちゃダメって……。」
「ばれなきゃ大丈夫だよ、りんぐマイオニーちゃん。」
 ムギー・ポッターは笑顔でりんぐマイオニーに声をかけた。
「でも何だか嫌な予感がするにょ……。」
「ね。すぐに帰ってくるから。」
「にょ……。」

 そして消灯後。
「……こっちだぜ、ムギー・ポッター。」
「こっちか。」
 ムギー・ポッターとロンらいとは忍び足で開かずの間へと近づいて行った。
「そろそろだな。」
「でも……開かずの部屋には何があるんだろーな。」
「うーん……。」
「どうした?ムギー・ポッター?」
「何か、嫌な予感がするんだ。」
「考えすぎだろ〜。」
「お前は考えなさ過ぎだ。」
「なんだと!」
「ほら、それ。大声出したら見つかっちゃうよ。」
 ムギー・ポッターは完全にロンらいとをからかっている。
「うぐぐぐぐぐぐ……。」
「ほら、ついたぞ。」
 そうこうしているうちに二人は開かずの間の前にたどり着いていた。
「……何もいないぞ。」
「おっかしーなー。」
「やっぱり見間違いだったんじゃないか?」
「……!?ちょっと待て、ムギー・ポッター!」
 ロンらいとが叫ぶと何か不思議な空気が漂い始めた。
「なんかいるぞ、ムギー・ポッター!」
「な、なんだ!?」
 そしてじょじょに二人の目の前に何か二つが姿を現した。それは……
「ち、父上!?母上!?」
 二人の前にムギー・ポッターの父上と母上が現われた。
「き、来ていたんですか!?」
「そーよームギーちゃん♪」
「ここで待ってればお前は絶対に来る!と思っていたからな。」
「そ、そんな……。」
「お、おいこの二人がお前の親なのか?」
 ロンらいとが慌ててムギー・ポッターに声をかけた。
「うう……。」
 ムギー・ポッターは完全に焦っている。
「せっかく母上達から逃げて来れたと思っていたのに……。」
「お前そんな理由で魔法学校に入ったのか!?」
 らいとは驚いた声をあげた。
「覚悟なさい!ムギーちゃん!」
 そう言うと母上はムギー・ポッターを捕まえた。
「し、しまった!」
「ふふふ……ムギー。」
「覚悟なさい!これも愛のムチよぉっ!」
「ぎ、ぎやぁぁぁぁぁ〜。」
 地下室にムギー・ポッターの悲鳴が響いた。

 ブンワーツ魔法学校。ここにはまだ多くの謎がある……。次の機会まで、しばしの別れ。
To Be Continued……?


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