サイコロの旅。サイコロを振って例え方向が逆であっても出た目に従い進む旅である。今回のサイコロの旅、今までの足取りを見てみよう。

九州が呼んでいる佐賀(2時間23分)17:36→

お母様にご挨拶JAL830便で名古屋(3時間15分)21:00→

名古屋で一泊! 日曜日06:37→

一気に日本海新潟(2時間43分)09:20→

振り出しに戻る東京(2時間10分)12:04→

一気にANA255便で戻る博多(3時間33分)16:06→

キングオブ深夜バスはかた号(14時間20分?)7:25→東京……

 そして……東京にて我々は大ピンチを迎える事となったのである。

○月×日(月)AM7:25 東京 紅鮭大学前

「さ、我々はですね、東京に来ております。」

「来てはいるんですがね。」

「ありがたい事にはかた号さんがですね。予定より……早く……。」

「二時間ですか?ミスター。」

「二時間も早く到着していただきまして。」

「珍しいですよね、こんなに早く到着するなんて。」

「ま、途中下車しちゃったんですけどね。」

「ですが……。」

「大ピンチを迎えております。」

「もうラジオの時間が……。」

「せまっております。」

「そんなわけでですね、ギブアップと……。」

「それでは次の選択肢を。」

「いや、もういいだろぉ!?」

チャンスタイム

1:ANA963便で千歳

2:JAL511便で千歳

3:JAS111便で千歳

4:ADO015便で千歳

5:これはシャレです博多

6:視聴者サービス愛媛

「……チャンスタイムですよ、ミスター。」

「……だね。大泉君振ってよ。」

「やだよ!ミスター振りなさいよ!」

「え〜ヤダよ〜。」

「ところで大泉さん、サイコロは?」

「あ、そうでしたね。私のポケットに……。」

「じゃお前振れよ〜。」

「何言ってんだよ!」

「誰が振るかは後にして、ほら早くしないとミスターのラジオが。迫ってるから。」

「だったら振らずに返してくれよ〜。」

「あ、あった。はい!……あ。」

 大泉が胸ポケットからサイコロキャラメルを出した。が、

「こ、これっ……つぶれてませんか?大泉さん?」

「あ、つぶれたってことはこれで終了と……。」

「いやいやいやいやいやいやいや。」

「まあまあ、ミスター。まだやるみたいですから。」

「お前どっちの味方なんだよ!」

「さ、藤村くん。予備のサイコロを……。」

「ないです。」

「え?」

「ないです。」

「じゃ、これで終了と……。」

「それさっき聞いたよミスター。」

「買いに行きましょう。」

「買いにって……。」

「コンビニそこにあるじゃん。」

 嬉野Dの一言により、大学の側にあったコンビニぶんぶんへと向かう事になった。

「じゃじゃじゃあ、この店で探しましょう。」

「この店にありますかね?」

「無いと困るでしょー、大泉さん。」

「なんで予備を用意しとかないんだよ!」

「お前が寝てる間につぶすからいけねえんだろ!」

「うるっせえよ!」

 四人が入店した店は女性店員が一人と、一人の女の子がいた。

「ちょっと二人とも。一応お店の中なんだから静かにしないと。」

「うるさいよミスター。だいたいミスターがはかた号なんか出すからいけねえんだろっ!」

「なんだよオレのせいかー?」

「あ、あのお静かに願いませんか?」

 四人は女性店員から注意を受けてしまった。

「あ、すいません……。」

 藤村Dがそう言うと四人は静かになった。

「と、とりあえず探しましょう。」

 藤村Dがそう言うと四人は店内を探し始めた。

「ないねー藤村くん。」

「もっとよく探せよ!」

「うるせえよ。」

「なにぃ?」

「うるせえって言ってんだ。」

「だから店の中だって言ってんだよ。黙って探せ。」

「……タガメ。」

「ああ?」

「タガメ。」

「ミスターをタガメだなんて……。」

「おめえのことだって。」

「わかんないですねー。ちょっと店員さんに聞いてきますね。」

 そうミスターが言うとレジに向かった。

「あのーすいません。」

「は、はい。」

「この店にサイコロキャラメルってありますかね?」

「は、はい。こちらの方に……。」

 そう言いながら女性店員はお菓子の棚へとミスターを案内していった。

「え〜と?」

「ここです。」

「あ〜ありましたね、藤村さん。」

「ありましたか!」

 ミスターの呼び掛けに藤村Dは大きな声でこたえた。

「ええ。とにかく早く買わないとラジオに間に合わない……。」

 そう言うとレジへと四人と女性店員は向かって行った。

「あ、あの〜つかぬことお聞きして良いですか?」

「はい?」

 ミスターは女性店員から尋ねられた。

「みなさんはテレビか何かですか?」

「ええ、そうなんです。」

 ミスターの代わりに藤村が答えた。次に大泉が

「僕ら『水曜どうでしょう』っていう番組なんです。僕『大泉洋』っていうんです。『千と千尋』見た事ありますか?」

「あるにょ!」

「僕それのね、番台蛙の声やったんですよ。」

「ええ!?」

 女性店員と女の子は揃って驚いた。

「すごいにょ!」

「で、僕が『鈴井貴之』と言います。映画監督なんです。」

「ええ!?」

 女性店員は声を上げて驚いた。

「で、僕とこっちでカメラ回してるのがディレクターなんです。」

 今度は藤村Dが喋り出した。

「本当にね、ダメディレクターでね。バカな事ばっかり考えてるんですよ。前もね、夏野菜で料理作るとか言ってたら、やれ野菜作るだ、やれ皿焼くだ、ってひどいんですよー。」

「じゃじゃじゃあ言うけどさあ、お前だってパスタ作るのに朝9時に入って出来たの夕方の4時ですよ。」

 再び大泉と藤村Dが言い争いを始めてしまった。

「ま、まあ二人とも……しばらく休んでたんですけどね、またやりはじめたんですよ。」

「そうなんですか。」

「で、今やってるのがサイコロの旅って言いまして。あのーこのサイコロキャラメルをですね、振りまして……。」

「振るんですか?えいっ!」

「あっ!」

 女性店員の手からサイコロが飛んでいった。

「嬉野さん、サイコロどこ行きました?」

「探さないとまずいぞ、これ!」

 四人と女性店員と女の子は慌ててサイコロが転がって行った方へと向かった。

「ど、どこだ?」

「うれしー撮ってなかったのか?」

「いや、見失った。」

「す、すいません……。」

「あ!あったにょ!」

 女の子が声を上げた。

「おーありましたかー……。」

「『6』が出てるにょ。」

「6ぅ!?」

「ふ、藤村さん6って何でしたっけ?」

「6は……えーと……『6:視聴者サービス愛媛』。」

「愛媛!?」

 大泉が驚きの声を上げた。

「愛媛かー……これは間に合わないかもしれないですね。」

「え?いやいやこれはこのお姉さんが出したから無効でしょ?」

「サイコロは『6』です。愛媛に行きます。」

「え〜行かないよぉ!」

 そう言うとミスターは座りこんでしまった。

「ほら早く行かないとミスター、間に合わないですよ。」

「そうですよミスター。急がないと……。」

「やだよ〜行ったら間に合わないよ〜。」

「ほら、早く……。」

「だって俺が出したわけじゃないのに……。」

 そう言うと大泉はミスターを外へ連れてってしまった。その様子をずっと撮っている嬉野も外へと出ていった。

「す、すいませんね。」

 そう言うと藤村も外へ出ていった。

「やだよ〜。間に合わないよ〜。」

「出ちゃったんだから仕方ないでしょ、ミスター。」

「あきらめましょ……。」

「え〜。」

「あ!」

 突然男性の声が聞こえた。

「も、もしかして……『どうでしょう』……。」

「バレましたよ、ミスター!」

「急がないと。捕まったら本当に間に合わなくなるよ!」

 そう大泉が言いながらミスターを引きずって行った。

「やだよ〜行かない!」

 その後。どうでしょう班は愛媛に到着。そしてミスターも無事ラジオに間に合った。ただし愛媛に到着したVTR、何故かミスターの姿は映っていなかった。どうでしょう班の説明によるとその時たまたまいなかっただけだというが……はたして。


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