ヴィルカナ王国は建国以来国家レベルの危機は何一つ無かった農業国である。
ヴィルカナ国の風景

 現在の14代目の王、ヴィルカス14世の御世の時、初めて国家レベルの危機に直面した。それは魔王の出現である。魔王はセダーという若き魔術師である。彼は魔法の研究をしていた時に封印された古の魔物の召喚に偶然成功した。その日より彼は魔王と名乗るようになった。
 魔王の出現によりヴィルカナ王国は存亡の危機にさらされようとしていた。しかし、その時一筋の希望が現われた。後の世に長く語り継がれる二人の勇者、ディングとシェジックである。二人は幼い頃からの親友である。二人のチームワークの良さは抜群であった。二人は四天王と呼ばれるうちの三人、復讐の闇司祭マキジナン、地獄の暗殺者デグローグ、そして麗しの女参謀アスキナを次々と倒していった。
 しかし、ここで魔王セダーは意外な行動を取った。それは世界征服をやめ、魔王をやめ、世界を平和にするというのである。そして、セダーは姿を消した。
 四天王最後の一人、紅の魔剣士ソドースはセダーの後を継ぎ世界征服ににのり出した。しかし二人の勇者、ディングとシェジックはすぐさまソドースのいる魔王城へのり込んだ。そして壮絶な戦いを繰り広げソドースを倒した。つまり世界に平和を取り戻したのである。
 人々の間にソドースの死はすぐに広まった。しかし、すぐには平和になったと思う者は少なかった。突如行方のわからなくなった魔王セダーがまた世界征服に乗り出すのではないかという不安が残っていたからである。
 しかしそんな不安は二人の勇者が帰ってくると無くなっていった。人々は歓喜の声をあげヴィルカナ王家は感謝と祝福の言葉を述べた。
 そしてヴィルカナ城では盛大なパーティーが夜通しひらかれていた。
 普通の物語ならここで話が終わるのだが、今回の物語はここから始まっていくのである。



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