「……?……ここは……。」
ディングは自分が丘の上にいるのを思い出した。そばにはセダーが倒れている。
「……今のは……セダーの魔法……?」
ディングはセダーを見つめた。セダーは動かなくなっていた。セダーの手にはペンダントが握られていた。
「これは……アスキナの……。」
そして、ディングは動かなくなったセダーを見つめていた。
アミジャーカンはノピャールから舟で3日ほど進んだ所にある小島の中にある町である。アミジャーカンでは愛の女神が奉られており恋人達がよく訪れる。また町のまわりにはちょっとした森があり海が近い事もあってロマンティックなイメージがある町でもある。
ディングはアミジャーカンにつくとすぐに聖堂へと向かった。その手にはペンダントが握られていた。
ディングは聖堂にペンダントとメガネを捧げた。
「……それはあなたの物なんですか?」
祈りを捧げていると聖堂にいるシスターが尋ねてきた。
「いえ……この世で……結ばれなかった……恋人達の物です。」
「ほお……そうですか……一体何故あなたが……?」
「……頼まれたんです。その恋人達に。」
シスターはにっこり微笑んだ。
「そういえば、お聞きになりました?ヴィルカナ王国のウィルナ王女、ご結婚されたそうですよ。」
「へえ、相手はどんな方です?」
「確か……魔王を倒したっていう勇者のうちの一人で……名前はシェジックとか言いましたっけ。」
「……そうなんですか。」
ディングは思わず微笑んだ。
(そうか、あいつうまくやったんだな。)
「もう一人の方は?」
ディングはシスターに尋ねてみた。
「……ディングさんとかいう方は……また、旅に出たらしいですが……。今、ひょっとしたらここに来てるかもしれませんね。」
「そうですね。」
ディングは微笑みながら聖堂を出ていった。
ディングはアミジャーカンの町の外にいた。
「セダー、アスキナ。」
ディングは呟いた。
「……今度……生まれ変わる時は……結ばれる……恋人同士に……なれよ……。」
ディングはしばらく空を見つめていた。
「……さて、俺はどうするかな。」
ディングは歩き始めた。
「とりあえず舟に乗って……ノピャールに戻って……うーん、それから考えるか。」
ディングがその後どんな旅をおくったのかは、また別の話である。
〜END〜
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