「……大丈夫みたいですね。」
 ここは天界。四人の神が二人の様子を見ている。
「一時はどうなる事かと思いましたけど。」
と、英知の神が思い出しながら言った。
「本当に罪を償ってたんだな。」
と、軍神が呟いた。
「ほうら私の思ってたとおり、二人は結ばれましたね。」
と、愛の女神が自慢気に言った。
「しかし、最初は驚いたわ。あの二人を人間に転生させて欲しいなんて。」
と、農耕の女神が愛の女神の方を向いて呟いた。
 英知の神が呆れたように語りだした。
「本来ならば何百年も冥界で罪を償わなければならないところを……いきなり『あの二人は大丈夫!絶対に罪を償ってるから!』って言って創造神にまで頼みに行ったんですから。」
「だ、だってセダーは聖地を巡礼したし、何より反省してたから……アスキナだって本当は……。」
 愛の女神は拗ねたように言った。
「創造神様もよく許したよな。」
と、軍神は農耕の女神に話しかけた。
「ひょっとしたら、創造神様も同じ事考えてたんじゃない?あなたと。」
 農耕の女神はそう言いながら愛の女神の鼻を軽く押した。
「ちょっと、なにするのよ。」
 愛の女神はふくれっつらになった。
「でも私達の手前簡単に許すわけにもいかず試練付きで転生させたって事ですか?」
 英知の神が農耕の女神に尋ねた。
「多分ね。創造神様もあの二人の事は気にしてたみたいだし。」
 農耕の女神がウインクをしながら答えた。
「セダーとアスキナか、もう何年前になるんでしたっけ?」
 英知の神が昔を思い出しながら呟いた。
「さあ、ね。もうだいぶ昔の事だし。」
 愛の女神がいたずらっぽく微笑んだ。
「二人がこの命の時に結ばれれば合格って……まさか本当に結ばれるとは……。」
 軍神がしみじみ呟いた。
「しかもその二人の仲を取り持ったのが、前世であの二人を倒した勇者ディングの生まれ変わりだなんて、よくできた話よね。」
 農耕の女神が幸せそうにしている二人を見ながら呟いた。
「……ところで。」
 英知の神が軍神に話しかけた。
「盗賊を倒した時にあいつの魔王の力を少しだけ復活させたの、お前の仕業だろ。」
「さあ、どうなんでしょう。あ、そろそろ十二神会議が始まりますよ。」
 そう軍神が言うと、他の三神とともにどこかへと行ってしまった。
 そして下界では、セダーとアスキナの生まれ変わりがディングの森を出ようとしているところだった。

〜END〜


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