その日の夕刻。ウネクトルの隣に当たる国にて。とあるパブ。こんな会話が交わされた。
「おい、聞いたか?ウネクトルでまた革命だってよ!」
「え?どういうことだ?」
「いや、何でも式典か?それが今日あったんだけどもな。」
「うんうん。」
「エダンダってのが正式に指導者に任命されるっていう式典だったんだけどさ。」
「ほほう。」
「その時に誰か……お偉いさんの一人が刺し違えようとしたって……。」
「で、どうなった?」
「その刺した奴はその場で大臣に殺されたんだけどさ、他の兵士達が今度はその大臣を倒したんだ。」
「え?」
「いやな、その殺されたエダンダってのがまた嫌な奴でな、全く国民から支配されてなかったらしい。」
「本当かよ?」
「ああ、それで民衆は兵士達を支持してな、けっきょく大きな混乱も無かったんだが……よかったよな。」
「まあな。」
「ああ、これでまた国中でもめてたら俺らの国が戦争に行ってたぜ。何より平和が一番だよなー。」
「そのとーり!上もその事わかって欲しいよなー。」
「ああ……ところで一つ気になったんだがよ。」
「ん?何だ?」
「その最初にエダンダを刺した奴ってのは誰なんだ?」
「えーと……お偉いさんの一人でな……あ、軍隊の司令官らしいな、たしかエダンダの幼馴染らしいな。」
「幼馴染か……多分幼馴染だからできたんだろうな。」
「どうなんだろうな……そこらへんは本人にしかわかんねえからな。」
「たしかに……あ、ちょっとビールまだかー?」
その集団が騒いでいる間に、後ろをオルゴールを持った女性が静かに通り過ぎた。その眼には、虚ろな涙がたまっていた。
次のページへ
前のページへ
小説目次へ