アズマ&ウッチーアズマ&ウッチー編
 ある都会の片隅に、アズマとウッチーという若い夫妻が住んでいました。
 彼らの生活はつつましく、貧しかったけれど、二人は愛情にあふれていました。
 さて、今日はクリスマスです。
「どうしよう……これじゃプレゼントが買えないよー。」
 ウッチーは悩んでいました。なぜなら愛する夫アズマへのクリスマスプレゼントを買うお金がないのです。
「……そうだ!」
 ウッチーはそう叫ぶと外へ出かけていきました。
 そして夕方。
「ただいま〜。」
 アズマが仕事から帰ってきた。しかし、
「あれ……?」
 家の中には誰もいなかった。
「ウッチー?ウッチー?」
 アズマは愛する妻の名前を呼んだ。しかし、返事はなかった。
「……ウッチー?」
 アズマの心に不安がよぎった。その時、
「ただいま……。」
「おかえり、ウッチー。」
 アズマはウッチーのほうを見た。すると、ウッチーは頭にスカーフを巻いていた。
「どうした?ウッチー。」
「あの……。」
「ま、いいや。今日はクリスマスだろ?プレゼントも買ってきたんだよ。ほら。」
 そういってアズマはウッチーの前に袋を出した。
「ほら、あけてごらん。」
 ウッチーは袋をあけた。すると、
「わあ……きれい……。」
 袋の中にはきれいな髪飾りが入っていた。
「どうだ、気にいったか?」
「……うんっ!」
 ウッチーの目から涙がこぼれている。
「でも……。」
「ん?どうした?」
「私からのプレゼント……。」
「いいよ、ウッチーの笑顔があれば。」
「ちがうの、実は髪の毛を……。」
「え!?」
 アズマは思わず声をあげた。
「か、髪って……。」
「うん、髪の毛を切ってお金にかえようと……。」
「ウッチー……。」
 ウッチーの目は今にも泣きそうになっている。
「したんだけど……。」
「え?」
「『ショートヘアーだからもう切るところない』って……。」
「……え?」
「だから何も用意できなて……その……。」
「……なんだよそれは!」
「ごめんっ!」
「いや、いいよ……。」
「そのかわり……今日はごちそう作るからね!」
「そっか……ところで材料は?」
「あ、買ってくるの忘れた!今から買ってくる!」
「でも買うお金は?」
「あ。」
 ちゃんちゃん♪

アズマ&ヨーコアズマ&ヨーコ編
 ある都会の片隅に、アズマとヨーコという若い夫妻が住んでいました。
 彼らの生活はつつましく、貧しかったけれど、二人は愛情にあふれていました。
 さて、今日はクリスマスです。
「どうしましょう……今日……。」
 ヨーコは悩んでいました。
「そうだ!」
 ヨーコは突然何かを思い立って家を出て行きました。
 そして夕方。
「ただいまー……あれ?ヨーコ?」
 アズマが帰ってきたとき、まだヨーコは帰っていませんでした。
「どこ行っちゃったんだろう……。」
 アズマは袋をそっと取り出した。
「せっかくめざましくんを売ってプレゼント買ってきたのに。」
 アズマの手にはきれいな髪飾りがあった。
 そのころ。屋根の上では。
「ここならサンタさんがそりに乗ってる姿を見れるはずです。」
 ヨーコが毛布にくるまってサンタがやってくるときを待っていた。
「あ、いた。」
「あ……おかえりなさい。」
 アズマが心配して屋根の上にやってきた。
「こんなところにいて風邪ひいたらどうするんですか?」
「だいじょうぶですよーう。毛布が暖かいですから。」
「本当に……。Merry X‘mas。」
 そう言うとアズマはそっと髪飾りをヨーコに渡した。
「はいこれ。クリスマスプレゼント。」
「わあ……きれい……。」
 アズマ空を見上げた。ちょうど空には一番星が輝いていた。

 ちなみに。
 めざましくんを売ってしまったために翌日からヨーコの朝寝坊はひどくなったとか。
 めでたしめでたし♪

ゆいゆい綾上原ゆいゆい&綾&上原編
「ふう。」
「ウッチーおせーなー。」
「まあまあ、もうちょっと待ちましょうよ。」
 上原、ゆいゆい、綾がコタツに入ってくつろいでいた。
 せっかくなのでクリスマス会をやろう、という提案を綾が出していつものメンバーがゆいゆい宅へ集まったのである。
「ところで……。」
 綾が二人の顔を見た。
「私はローストチキンを持ってきたんだけど……二人は何を用意したの?」
「俺は飲み物もってきたぞ。」
「僕はケーキを。」
「本当?」
「どこで買ってきたんだ?」
「ん?まあ僕の顔なじみの店でね。特別に作ってもらったんだ。」
「へえ〜。」
「で?何ケーキなの?」
「ん?見るかい?」
 と言って上原はケーキをコタツの上に置いた。
「この黒い色……チョコレートケーキだな?」
「いや、イカスミとあずきのケーキだけど。」
「「げっ……。」」

シムキン&教頭校長&教頭編
「あれ?教頭?」
「おや、校長、まだ残っておられたんですか?」
「ええ、まだ書類の整理が終わってなくて。教頭は?」
「ちょっと……ありまして……。」
「どうしたんですか?」
「妻が……アイドルのディナーショーに行ってまして……。」
「は、はあ……。」
 校長の顔はすこし引きつっていた。
「しかも……私プレゼントをまだ買ってないんですよ……。」
「何を買う予定なんですか?」
「そのアイドルのカウントダウンコンサートのチケットを……。」
「……。」
 校長の顔はまだ引きつっていた。
「ははははは……。」
 もう、笑うしかない。

ヨーコ沖田ヨーコ&沖田編
「もしもし沖田先生ですか?」
「はい?ヨーコ先生?」
「クリスマスですね。」
「そうね。」
「思ったんですが。」
「ん?」
「プレゼント交換しません?」
「へ?」
「この間イギリスに住む母からピアスが送られてきたんですよ。でも私ピアスってつけないんですよ。それで沖田先生にどうかな〜って……。」
「いいわね〜。じゃあ私からも何か後で送るわ。何がいい?」
「じゃあですね……欲しいものがあるんですが。」
「何?」
「羽毛枕がほしいなーって。この間やぶけちゃったんですよう。」
「いいわよ。羽毛枕ね。」
「じゃあ、司書室宛に送ってくださいね。」
「昼寝用かっ!」

飯田栗子飯田&栗子編
 ある都会の片隅に、イイダとクリコという若い夫妻が住んでいました。
 彼らの生活はつつましく、貧しかったけれど、二人は愛情にあふれていました。
 さて、今日はクリスマスです。
「どうしよう……何もプレゼント用意してないよう……。」
 そう言うとクリコは泣き出しそうになってしまいました。
「……そうだ。」
 栗子はそう言うと出かけていきました。
 そして夕方。
 先に帰ってきたのはクリコの方だった。髪の毛をばっさり切っていた。
「ただいま……ってまだイイダくん帰ってないんだ……。」
 と寂しげにつぶやいたその時、
「ただいま。」
「おかえり、イイダくん!」
「クリコ?どうしたんだその頭は?」
「あ、これ……。イイダくんにプレゼント買おうとしたんだけどお金がなかったから……売っちゃった。」
「クリコ……。」
「はい、これ。プレゼント。」
 クリコの手には携帯ミシンがあった。
「本当はもっと大きいの買おうとしたんだけどお金が足りなくって……。」
「……。」
「はい、クリスマスプレゼントだよ。」
「クリコ、俺からもプレゼントがある。」
 そう言うとイイダは懐から毛糸でできた手編みの帽子を取り出した。
「ほら、これでその頭隠せよ。」
「イイダくん……。」
 クリコの目は泣きそうになっている。
 Merry X‘mas!

 ……あれ?オチなし?(笑)

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