アリストシアリス&トシ編
 ある都会の片隅に、トシミツとアリスという若い夫妻が住んでいました。
 彼らの生活はつつましく、貧しかったけれど、二人は愛情にあふれていました。
 さて、今日はクリスマスです。
「今日はクリスマスか……。プレゼントまだ買ってないのよねー。」
 アリスは悩んでいました。
「プレゼント買うお金もあまりないし……どうしようっかなー。」
 アリスはトシ君のために何かプレゼントをしたいのですがそのためのお金がありませんでした。
「そうだ。」
 アリスはそうつぶやくと外へ出ていってしまいました。
 そして夕方。
「遅いなートシ君。」
 アリスはトシ君を待っていた。そしてそのアリスの髪はばっさりと短くなっていた。
「……何やってんだろ……。」
 そして1時間後。
「遅いなー。」
 トシ君はまだ帰ってきていなかった。
「もう料理できちゃったよ……。」
 さらに1時間後。
「遅い……。」
 まだトシ君は帰ってきてなかった。
「……眠くなってきちゃった……。」
 そしてさらにさらに1時間後。
「ただいまー、アリスさん!」
「遅いよートシ君。」
「いやー仕事が長引いちゃ……って……?」
 トシ君の目がアリスの目に釘付けになった。
「切っちゃったんだ……。」
「……いいよ!」
「え?」
 トシ君が何故か喜んでいる。
「新しいアリスさんの魅力だよ。」
「トシ君……。」
「で、髪を売ってこれ……。」
 そう言いながらアリスは小さな包みを手渡した。
 中には万年筆が入っていた。
「ありがとう、アリスさん。で、ボクからもプレゼントがあるんだ。はい、これ。」
「え、何々?」
 トシ君は小さな包みを手渡した。
 中には
「……何?コレ?」
「アリスさんに似合うと思って。」
 中には招き猫が入っていた。
「なんで?」
「いや、お店が繁盛するように。」
 ……何だかなあ。

マスターくるみマスター&くるみ編
「くるみ、今年のクリスマスはどうでした?」
 WITHの店内、この日アリスは休みを取っていて今店内にはマスターとくるみしかいなかった。
「今年?うーん、あまり良くなかったかなー。」
「ほほう。どういうことです?」
「だってプレゼントはブランドものって言うから期待してたのにウニクロのだったんだよー。」
「ははは、仕方ありませんよ。」
「でも半分ぐらいちゃんとしたブランドでもいいと思うんだけどねー。」
「は?」
「結局今年当たりだったのは38個だけかー。」
「何人いるんですかーっ!」

大中央出版ボス&チーフ&新井君編
「おはようございます、部長。」
「ああ、おはよう。」
「おはよーございまーす。」
「おはよ、新井君。」
「……山本は?」
「そういやまだ来てませんね。」
「まあいい。」
「あら?部長。」
「ん?」
「それ……新品ですよね。」
「ああ、クリスマスプレゼントなんだ。」
「いいお子さんですね〜。」
「いや、妻からなんだ。」
「へえ〜。」
「新井はクリスマスどうしてたんだ?」
「あ、ボクは年賀状書いてたんで。」
「本当に書いてたの〜?」
「ええ。……ところでチーフは?」
「……さ、仕事仕事。」
「ごまかさないでくださいよー。」
「ほら、新井。仕事だ仕事。」
「そんなー。」
「あ,そうだ新井君。」
「はい?なんですかチーフ?」
「今ごろ書いてたんじゃ……元旦には届かないんじゃない?」
「あ。」
 年賀状はお早めに〜。

ひまじんつぐみ&理沙編
「あのさ、理沙ちゃん。」
「んー?」
「『賢者の贈り物』っていう話があるでしょ?」
「ああ。」
「あれってさー、お金がない夫婦がさ、プレゼントを買うために夫は時計を、妻は髪の毛を売っちゃうんだよね?」
「たしかそのはずだけど?」
「で、買ったのは髪飾りと時計につける鎖で、両方とも役に立たなかったんだよね?」
「ああ。」
「でもさ……髪はほっといたらまた伸びるよね。」
「あ。」
 その時。
 ピンポォ〜ン。
「誰だろ?」
「あ、理沙ちゃん出ないで。MHK男だったらまずいし。」
「まあ、たしかに。」
 つぐみはそっとドアに近づいた。
「森川さん?あのー宮本ですけど……。」
「あ、なんだ宮本君?」
 と、つぐみはドアを開けた。と、
「はははぁー!ひっかかったな森川つぐみー!」
「うわぁっ!MHK男!?」
「こんばんは〜森川さん〜。」
「宮本君、これはいったい!?」
「ふふふ、私が雇ったんですよ!」
「暇だな、MHK男!」
「あの。」
 つぐみたちが言い争っていると突然声をかけるものが現れた。
「あれ?刑事さん?」
「どーもどーも。このへんで放火が相次いでますので気をつけてください。」
「あ、はーい。」
「わかりました。」
「あ、はい。」
「それでは私はこれにて。」
「では私も。」
「じゃ、ボクも自分の部屋に戻ります。」
「じゃーねー。」
 バタン。
 と、
「あ!森川つぐみー!開けろぉー!」
 MHK男がドアを叩いている。
「……マヌケだな。」
「ま、いいんじゃない助かったんだし。」
「しかしあれじゃ他の住人に迷惑なんじゃ。」
「大丈夫だよーそのうち……。」
「ぐはっ!」
 突然ドアの外でMHK男の叫び声が聞こえた。
「……大家が何かするだろうから。」
「……したな。」

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