ドラザァー城下町(Castle town)
三人は黙って歩いていた。
「……。」
「……。」
「……。」
正しくは黙らざるを得なかった。なぜなら、町が静まりかえっていたからである。そして人が誰もいなかったのである。
「……なあ。」
マギクが口を開いた。
「これはどういうことだ?」
「こっちが聞きたいくらいですよ。」
「どういうことなの……。」
マギクが口を開くと残りの二人もしゃべりだした。
「こういうことだ。」
「何がですか?」
「船が出なくなったわけ、だ。」
イリサとタンリズは黙ってしまった。
「俺も実際見るのは初めてだがな。」
マギクは独り言のように話し出した。
「いつのころからかドラザァーへ行った船が何一つ帰ってこない。誰も帰ってこない。ドラザァーの上空にはなにやら怪しげなくもがたちこめている……それが一年以上続けば誰も船を出そうとは思わんよ。」
「……ごめんなさい。」
イリサは突然謝った。
「?何がだ?」
「生きて帰れないかもしれないのに巻き込んで。」
「いや……生きて帰ればいいだけの話だろ?だいたい死ぬと決まったわけじゃないだろうが。なあ、そっちのにいちゃんも。」
「にいちゃんとは失礼な!」
タンリズは怒鳴った。
「しかし……実は一つだけ気になっていることがあってな。」
マギクはタンリズを無視してつぶやいた。
「気になっていること?」
「何で港には船が一艘もなかったんだろうな。」
「え?」
「俺らの前に誰も来てないってことはあるまい。ならなぜ船がなかったんだ。」
「あ……。」
「だから何かある。そう思っているんだ。」
そして三人は再び黙ってしまった。
三人は城へと歩みを進めていった。
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