晩餐室(Dinner room)


晩餐室


「ほお、けっこう立派なんだな。」
 マギクが驚きの声をあげた。
「そりゃそうです。この城で一番美しい部屋なのです!」
 タンリズが誇り高く答えた。
 晩餐室は先ほどのホールと同じぐらいの大きさであったがやはり荒れていた。
「こりゃまたキレイな絵だな。」
 四方の壁にはそれぞれフレスコ画が飾ってあった。
「この絵は私が生まれる前からここにあったの。」
「ほほう。」
「この絵は『The tears which a saint's mother sheds are red』。説話を元にして描かれたそうよ。4枚で1セットなの。」
「……あまり気味の良いタイトルじゃねえな。……そうか元から紅かったのか……。」
「……この絵は。」
 タンリズが口をはさんできた。
「かつてこの城に住んでいた画家のものです。」
「へえ〜。」
「たしか……礼拝堂の十二神の絵も確かその方が描かれたものです。今はもう……お亡くなりになられましたが。」
「礼拝堂?そっちにもあるのか。」
「ええ。……マギクさんは絵には詳しいんですか?」
「いいや。全く。」
 マギクが照れくさそうに答えた。
「俺が絵の事わかるわけないじゃねえか。ちょっと興味があっただけさ。」
 マギクはそう言うと絵を見つめつづけていた。
「さ、そろそろ参りましょう。」
 タンリズが2人に声をかけた。
「ああ。」
「行きましょう。」
「地下牢へはこちらからです。」

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