墓場(Graveyard)



「墓場ってのはいつでも気味が悪いな。」
 マギクがそうポツリとつぶやいた。
 三人は急いで城を出ると教会へと向かった。教会の前には墓場が広がっていた。
「あまり良い場所ではありませんからね。」
 タンリズが左腕をさすりながらマギクに返した。
「ああ……姫さん、やけに元気だな。」
 マギクはそう言いながら前を歩くイリサを見た。イリサの足の早さはどんどんあがっていった。
「姫、あまり一人で先に行かれませんよう。」
「わかってるわ。」
 イリサの声は元気で、どこか寂しげだった。
「……雨が降ってきたな。」
 マギクが言うように雨が墓場に降り始めた。
「いったい、誰がいるんだろうな。」
「……。」
 タンリズも黙ってしまった。
「……ところで。」
「え?」
「左腕大丈夫か?」
「……まだ痛みますね。」
「絶対……死ぬなよ。」
「はい。」
 三人の視線に教会の入り口がはっきりと見えてきた。
教会


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