「……ん……。」
 敦子が目を覚ましたのは翌朝の5時だった。
「……あれ……ここは……。」
 敦子はまず自分の家だという事に気がついた。そして次に気づいたのは、
「なんで玄関で寝てんの私……。」
 しかも自分の服装が昨日のスーツ姿のままである事に気づいた。
「あっちゃー、私昨日のままか……今何時だ?」
 彼女は腕時計を見た。と、
「うわっ……何これ〜。」
 彼女は自分の体が吐いた物まみれになっている事に気がついた。
「さいあくぅ……洗わなきゃ……。」
 そう小声でつぶやくと風呂場へ直行した。
「はあ……今日行ったらみんなに謝らなきゃ。昨日の事……やっばい何にも覚えてないよ〜。」
 敦子は自分の服を脱ぎ風呂場のドアを開けた。が、
「……きゃ、きゃああああああああ!!!!!!!!!!」
 そこにはぐっすり眠っている重樹が座っていた。
「ん?ふぁあ……。」
 重樹は敦子の悲鳴に目を覚ました。そしてゆっくりと敦子の方を向いた。
「あ、おは、ええっ!?」
 そこに立っていた敦子はシャワーを浴びるため素っ裸になっていた。

「……あのさ、重樹君……。」
「いや……その……。」
 敦子と重樹は向き合っていた。ただし、目線はそらしていたが。ちなみに敦子はすでに服を着た後である。
「……見た?」
「……うん……。」
 重樹は顔を真っ赤にしている。
「……なんで、いるの?」
「お前が俺に思いっきり吐くからだろ。」
「……そうだっけ?」
「覚えてないのかよ。」
「うん。」
「うんじゃねえだろぉ。そのせいでお前も裸……。」
「それ以上言わないでよ。……思い出したくないんだから。」
「ああ……。」
 その後、少しの間居心地の悪い間が続いた。
「……俺、先に会社に行くよ。」
 そう言うと敦子の返事も聞かずそのまま出て行ってしまった。
「……最悪。」
 敦子はそうつぶやいた。

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