それから3日後。夜、重樹と敦子は一緒に歩いている。いや、正しくは重樹が敦子を背負っていると言うべきである。
「全く……やっぱりこうなるんだよなぁ。」
この日は先輩だった関月涼夜との飲み会だったのだ。
そして、案の定敦子はデキあがってしまったのだ。このままほっとくととんでもない事になるかもしれないので途中で帰す事になった。その結果重樹がまたもや送る事になったのである。
「なあ……起きてるか、敦子。」
「ん……んん……。」
「あのさあ、この前みたいな事はゴメンだからな。」
「……この前……。」
「俺に吐くんじゃないぞってことだ。」
「ふーん……。」
「ふーんって……。」
「じゃあ私の裸はOKってこと〜♪」
「……バカ。」
「バカとは何よ〜。バカって言う方が……。」
「はいはい。わかったから。」
「ん……。」
「……。」
それから少しの間何も言わずに歩いていた。
「あ、タクシー。すいませーん!乗りまーす!」
重樹はタクシーの方へと走っていった。
その頃。
「ねえねえ、どう思います、あの二人。」
「ん?何?浮野。」
敦子と重樹を送り出した後の飲み会、涼夜先輩とあすみが何やら話している。
「いやね、お似合いじゃないかと。」
「ああーそういうことね。」
「お似合いって思うよなぁ。」
逢坂が話に入ってきた。
「ねえ、逢坂君もそう思うよねえ。」
「そうそう、あいつら絶対できてると思うんだけどなぁ。」
「あ、だから東野に送らせたんだ。」
「そういうことです♪」
「ふ〜ん、なるほどねぇ……。」
「ね、ね、鈴卯もそう思うよねえ。」
「……え、ええ。」
鈴卯は小さくうなずいた。
「あ、そっか複雑よねえ、鈴卯ちゃんは。」
「あ〜お兄さん、お姉さん的な感じだったからなあ。」
妙にあすみと逢坂は納得している。
「あ……あの……。」
「……寂しいの?」
突然涼夜は鈴卯の目を見てつぶやいた。
「え、ええっ。」
「……ねえ鈴卯ちゃん、あの二人のこと好き?」
「……はい。」
「じゃああの二人が上手くいったら祝福してあげなきゃ。」
鈴卯は黙ってうなずいた。
「でも……。」
鈴卯は小さな声で話し出した。
「私が心配してるのはそういう事じゃなくて……敦子さんけっこう酔っ払ってましたよね。」
「ん?んん。それが狙いなんじゃない。」
「でも……前みたいに重樹さんに吐いちゃったりしたら……。」
「……ロマンスも生まれないか……。」
涼夜はしかたないな、という顔になった。
「……無理ですね……。」
あすみは小さくため息をついた。
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