「ただいま……あれ?」
根田が家へ帰ってくると変に静かだった。
「?なんでこんなに静かなんだ?」
根田はリビングへと怪訝そうに入っていった。そこには
真亜美が一人で座っていた。
「どうした?なんかあったのか?」
「実は根田さん。明日……真志さんをお父さんに会わそう
と思うんです。」
根田の顔は少し戸惑ったが
「ということは……自分の正体を明かすってことか。」
「はい。」
真亜美の目は覚悟を決めた目だった。
「そうか……で、真志は?」
「さあ……ちょっと出かけてくるって……。」
「どこへ行ったかまでは知らないのか。」
「はい。」
「わかった。とりあえずお前はもう寝とけ。明日、けっこ
う大変な事になりそうだからな。」
根田は真亜美を寝るように促した。
「は、はい……。それじゃお休みなさい……。」
そう言って頭を下げると真亜美はリビングを出ていった
。
「……どこ行ったんだか。逃げたんじゃあるまいな……ま
さか、それはないか。」
そうつぶやくと根田は携帯を取り出した。
「……もしもし?笹月さんですか……?」
「はい、それじゃ明日……では村田さん、よろしくお願いします。」
そう言うと根田は電話を切った。
「ふう。これで二人とも連絡したと。」
根田は廊下の方を向いた。
「あいつら……明日が勝負だな。」
そのころ。真志が使っている部屋にて。
「明日……やっぱり言わなきゃダメだよな。」
真志はそう寝ころにながらつぶやいた。
そしてそのころ真亜美が使っている部屋にて。
「……どうしよう……。でもいつまでも根田さんに迷惑かけるわけにはいかないし。」
真亜美はため息をついた。
「……嫌われても、しかたないよね……。」
真亜美の声は少し泣いていた。
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