三日月が輝いていた。
 この夜は月明かりがきれいな夜だった。

(……明るい……。
 ダメだ、今夜は眠れないかもしれない。)

 サケウスは木の上に上っていった。

(きれいな月だな……。まるでエアさんみたいだ……。)

サケウスは三日月を見つめていた。


(でも……やっぱりエアさんはゲファンさんのことが好きなんだろうな……。
 多分さっき泣いてたのはゲファンさんのことが心配だから……。)

(……目が覚めちゃった……。
 ……やっぱり不安で眠れないなぁ……。
 どうしよう……。
 あれ?サケウス?)
 サケウス?サケウス?

(あ、エアさんの声だ。)
 あ、はいここです。
「あ、良かったーサケウスまでいなくなったらどうしようかと思ったよー。」
 ははははは。

 サケウスは笑っている。

 ひどいなー心配したのにー。
「いや、すいません。ちょっと眠れなくて……月を見てたんです。」
 月?
「ええ。きれいですよ、今夜の月は。どうです?エアさんも。」

エアも木の上へと上っていった。

「きれいねー。」
 でしょ?今夜は月がやたらと明るいですね。
「そうね。」
 ……。
「……。」
(……どうしよう……何かしゃべることは……。)

 少しの間沈黙が流れた。

「……。」
 ……。
(何だろう……サケウス黙っちゃった……。
 怒らせるようなことしたかな……。)


 月はまだ輝いていた。
 と、その時。
 ざわざわざわ……。
 突如風が強くなった。

 風が出てきましたね。
「……。」
 エアさん?
「ねえサケウス。なんだか変じゃない?」
 え?
(……風……あれ?周りの木は揺れてない?だとするとこれは……。)

…危ないっ!

 エアはサケウスを慌てて伏せさせた。
 そして

 きゃっ!
「大丈夫ですかエアさん!」
 だ、大丈夫。
「……でもいったい今のは……。」

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