それから2ヶ月ほどが過ぎた。ウネクトル国の現状は期待に反して再び混沌が渦巻き始めた。
民衆に期待されたエダンダであったがまるで人が変わったかのように重税を取り立て厳しい政治を行い始めた。無論それは民衆を苦しめる事となったが、「革命を成功させた英雄」として進言できる者は誰一人としていなかった。また反乱の疑いがあるとエダンダに思われた者はすぐさま死罪となり、エダンダに逆らう者などいなくなりつつあった。
そんなある日……。
城の会議室にて。この日もいつものように緊張感のある会議だった。
「……よし。本日の会議はここまで。」
エダンダはそう言うと席を立った。
「ははっ。」
会議の出席者たちは皆頭を下げている。一人を除いて。
エダンダは廊下に出ると呼び止められた。
「?誰だ?」
エダンダが振り向くとそこにはジェイが立っていた。
「どうした?ジェイ。」
「ちょっといいか。大事な話なんだが。」
「ああ。何だ?」
「ちょっと怖くないか?」
「何?」
「お前最近厳しくなったよな。」
「あのな。仕方ないだろ。周りの国から攻められんのを防がなきゃいけないんだぞ。そんな甘い態度じゃやってられるか。」
「でもお前な。厳しすぎて誰もついてきてないじゃないか。それに国民は重税に苦しんでいる。このままじゃお前……。」
「うるさいっ!」
エダンダの怒鳴る声が城中に響いた。
「……お前ならわかってくれると思ってたのにな。」
エダンダはそう言い残して元王の部屋へと戻っていった。
いつのまにか会議室から何人かが覗いていた。
「……。」
ジェイは何も言わずエダンダとは別方向へと歩いていった。
エダンダが一人でつぶやいている。
「……ついにか。いつかはそうなるとは思っていたが……。」
エダンダは唇をかんでいる。
「ただなぁ。あいつは今までの奴らと違って兵士や民衆からの支持も高いからなぁ。迂闊に手を出すと逆効果だからな。何か良い手は……。」
エダンダはジェイのことを考えていた。もはや幼馴染ではなく、邪魔者として。
ジェイは家に帰っていた。いつになく、真面目な顔だった。ミリゥは思い切ってたずねてみた。
「どうしたの?今日帰ってきてから様子がおかしいけど……。」
「……いや、エダンダとちょっともめちゃってな。」
「どーして?」
「最近厳しすぎるって言ったら怒鳴られてんだ。」
「でもそれは本当じゃない。みんな苦しんでるよ。」
「でもさ……あいつは他の国からこの国を守るために必死なんだよ。」
「だからって!」
ミリゥは突然大きな声を出した。
「だからって……今皆が苦しんでたら意味無いじゃない。他の国から守るってことは幸せに暮らしたいからでしょ?それなのに……今が辛いんだったら意味ないよ!」
「……ミリゥ……。」
ジェイはミリゥを見つめていた。
「ねえ、どうなの?あなたは本当は……誰の幸せを求めてるの?」
「わかった。明日もう一度エダンダと話してみるよ。」
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