……しかし困った。今はいいが翌朝になればさっき殺したシスターを見つけ大騒ぎになるであろう。そうすれば俺の顔は見られているからすぐさま俺が犯人とわかるだろう。やはりこのままではまずい。ならばこの女も……。幸いこいつもなかなかのもんだ。
 俺は思わず舌なめずりをした。すると、
「大丈夫ですよ、そんなに慌てなくても。すぐできますから。」
 どうやら聞こえてたらしい。気をつけねば。

「いかがです?お味の方は?」
 女は微笑みながらそう聞いてきた。
 俺は黙ってがっついた。
「大丈夫ですよ。そんなに慌てなくても。たくさんありますから。」
 しかし。やたら人がいいと言うか何と言うかやたら親切にしやがるな。ここの奴等は。そんな人を信じたところで損するだけなのに。現に一人もう……。
「あの、どうかなされましたか。」
 うわっと。いつのまにこんな近くに来てやがったんだ。驚くじゃねえか。顔の前に来られたらどう考えても驚くじゃねえか。しかし、やっぱべっぴんだよなあ。もうすぐこいつが……。いけねえ思わず口元がゆるむなあ。今日ツイてないと思ったがなかなかツイてるじゃねえか。よし。そろそろ。
「いやあのたいへんうま……いやおいしかったです。」
「そうですか。今夜はここに泊まっていかれたらいかがです?部屋も空いてますし。」
「いいんですか?」
俺は内心笑っていた。さっきも同じ事聞かれたよな。まったく。
「どうぞこちらです。」
 そう言うと女は俺を部屋へと案内するため歩き出していった。俺はその後をついていきながら女の体つきを観察する事にした。
 うん、やっぱよさそうだぞ。法衣の上からだからよくわからねえが結構胸なんかもありそうだ。いいな。
「どうかなさいました?」
 いきなり女が後ろを振り返った。何か妙な視線を感じたのだろうか。
「いえ、あまりにもあなたがおきれいなものですから……。」
 俺は慌ててそう取り繕った。
「いやですよ、そんなに褒めたって何も出ませんよ。」
 出ないんなら出さしてやろうじゃないか。俺はそう心の中で呟いた。

「さあここですよ。こちらへどうぞ。」
 そう言うと女はさっきと同じ部屋へと案内した。ではそろそろ……。
「……ふう。」
 俺はまた一息ついた。やっぱりいい体してたなあ。言う事無いな。さてこれをどうするかなあ。やっぱりさっきの地下室にでも突っ込んどくか。
 俺は動かなくなった女を地下室に運ぶ事にした。

「よっこらせっと。」
 俺はなんとか地下室に運び込むと一息ついた。しかしここでぐずぐずしているとまた誰か別の奴が来るかもしれない。そうなったら面倒だ。俺はそう思うと先程の部屋へと戻っていった。
 ……しかし……何かさっきから引っかかっているんだよなあ。そう、地下室にあの女を運び入れた時に……。何だいったい?今日は何かしらわからなかったり思い出せなかったりするなあ。そうだよ。昔だよ昔。さっきそれがわからなかったんだよ。昔……。
 俺はそんな事を考えながら歩いていたので自分の部屋を危うく過ぎていってしまうとこだった。
「……ふう。」
 俺は部屋につくとため息をついた。まあいい、明日考えても遅い事は無いだろう。問題はただ一つ。また昔の夢を見るんじゃないかって事だ。
 ……。
 考えても仕方ないか。ま、そのうちなんとかなるよな。俺はそう思うと今日はもう寝ることにした。
 俺は布団にもぐりこむと安堵のため息をついた。こうして布団で寝られるのはいつぶりだろう。えーとたしかあれは大商人だか何だかの屋敷に入ったときだから……4日ぶりか。あの屋敷は結構良かったよな。お宝も多かったし、布団はふかふかだし、それにあの使用人の娘、結構美人だったよな。いい体してたし。でも……今から思うとあの女もたいしたこと無いよな。今日の二人はもう最高だったからな。本当俺の好みだよ。……好み?俺の……好み……?何だ?この感じ。何かすっきりしないな。……?
 俺は起きあがった。何かわからないがとても歯がゆい感じがする。……昔か?昔の事に関係するのか?だとしたらあの夢とも何か関係が?だとしたら一体……?
 俺は少しの時間考えていた。いや、少しだけと思っていたが、
「あ。」
 月があんなに傾いてる。少しだけと思っていたが、今はだいぶ夜遅いらしい。こりゃいかん。早く寝ないと誰か起きてくる前にここから逃げれなくなる。
 俺はそう思うと考えるのを止めにして眠りにつく事にした。

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