お昼時のオフィス街、とあるレストランで三人のOLが食事をしていた。この三人は会社の同期である。ちなみに大学時代も同級生であった。
「ねえ、二人とも、何か隠してない?」
「隠してる?」
「何を?」
「……別に。恋人でもできたのかな、って。」
そう言いながら聡明そうな女性、江灘絵里は長い茶色の髪をかきあげた。
「そんなわけないじゃない。何でそう思うのよ。」
微笑を浮かべながら活発そうな茶色のショートヘアの女性、臼橋由梨は絵里にそう返した。
「いや何か……最近幸せそうだなって。あなたはどうなのよ、利亜。」
絵里はおしとやかな印象を受ける黒の長髪の女性、野部利亜に尋ねた。
「……利亜?どうしたの?黙っちゃって。」
利亜は何か考え事をしているのか上の空である。
「利亜?利亜ってば!」
思わず絵里は大声を出した。
「え?何?」
利亜はやっと二人に話しかけられているのに気付いた。
「……利亜。あなた絶対好きな人がいるわね。いや絶対いるわよ、ねえ絵里」
「私もそう思う。」
「な、何を言ってるのよ。」
利亜は誰の目にもあきらかなほど動揺した。
「絶対ね。」
「絶対。」
絵里と由梨はうなずきあった。